私は、マンションや駐車場等の不動産運営・管理をしているのですが、不動産オーナーをしていると頭を悩ませるものは色々ありますが、以下3つが大きなものだと思います
家賃滞納は滅多に起こりませんが、空室や設備修繕というのは、必ず発生するものです。そして設備修繕に関しては、問題発生したら、即対応することで解決することができます。しかし、空室対策はお客様あってのことなので、何か対策をしたからといって、即空室が埋まるという訳でもないので厄介です。
お客様の退去時期が偶然に重なったこともあるのですが、2月の頭の時点で保有しているマンションの部屋が3部屋空きました。このマンション、そう遠くない未来に建替えをしようかと考えています。
そのため、この3つの部屋は定期借家契約で貸し出すことにしました。オーナー視点に立って定期借家契約と普通借家契約を比較すると、ザックリ下記のようなメリット・デメリットがあります。
定期借家契約とは、2年なら2年、3年なら3年と決まった賃貸期間を終えたら、退去して貰えるという契約です。もちろん、双方同意があれば、再度定期借家契約を結ぶことも可能です。
オーナー側からすると、全ての契約を定期借家契約で結んだ方が有利になります。クレーマーや近隣トラブルを起こすような人等、正直、トラブルメーカーとは関わりたくないです。こんな人達と次に説明する普通借家で契約を行ってしまうと、次回契約更新をしないと言っても、それが叶いません。
そのため、出来るものであれば、全てを定期借家契約にしたいと思っているオーナーは多いと思います。実際、全ての部屋を定期借家で契約しているオーナーもいます。
普通借家契約とは、一度契約を結ぶと基本的にはオーナー都合で、入居者を退去させることが出来ません。賃貸物件に住んでらっしゃる人の多くはこちらの契約のはずです。
民法はザックリ云うと『立場の弱い人を守ってあげる』っていうのが原則です。オーナーの都合で、急に住むところを失ったら大変だから、借主守ってあげなきゃ!ってことです。そのため、借主にとって有利な契約になります。
借主を退去させるには『契約終了日の半年以上前に再契約しない旨を借主に通知する必要があります』とはいっても、半年前通知を行ったからと言って100%出ていけとはなりません。借主に「イヤ」と言われたら、基本的には、オーナー側はどうにもなりません。
裁判を行っても正当事由がない限りはオーナー側が勝つのは厳しいです。どうしても、退去して貰いたいのであれば、金銭解決等になってしまいます。これをイイことに、借主に補償金だの、多額の引っ越し費用を請求されたりするケースもあります。この辺の話は『地上げ屋』として、別の機会に話します。
定期借家契約 | 普通借家契約 | |
メリット | 決まった期間で賃貸借契約が終了出来る。つまり、退去させることが出来る。 | 通常の契約形態。オーナーとしては、大きなメリットは特にない。 |
デメリット | 考えようによっては、借主側が不利になる契約(オーナー都合)のため、通常入居者が見つかり辛い。 | 当初契約期間が終了したとしても、借主が退去同意しない限りは、基本的には退去させることが出来ない。 |
3月時期は空室を埋める最大のチャンスの月でもあります。その理由は皆さんが想像している通り、4月からは進学や就職などの新生活のはじまるからです。序でに、2019年に限っていえば、レオパレス問題があったので、通常年よりも動きがあったかもしれません。
皆が進学や就職、転勤などの新生活がスタートするよりも前に、空室を埋めなければ、暫くの間、空室が続く可能性が高まります。つまり、新生活のピークとなる3月中に空室を埋めることが出来なければ!!この時に満室稼働にさせることが出来なければ!!!不動産経営上は大きなリスクとなります。
先に書いた通り、今回は空室3部屋全てを定借契約を狙っています。しかし、オーナー側にメリットはありますが、通常、借主にとってメリットではありません。そこで、私が3月中に全室埋めるために取った施策が以下です。
これは入居者負担を減らすということです。ここを減らすと手元資金の乏しい人が手を挙げてくるので、オーナーにとっては良い客ではないのです。家賃滞納が通常よりも高いお客様の可能性があります。
また通常、礼金が客付けして貰った不動産会社に支払う手数料になるので、オーナー側の持ち出しコストも増えます。
しかし、今回は定借契約を目指しているため、仕方がありません。メリットを掴むためには、多少のデメリットも引き受ける必要があります。
今回2部屋を決めてくれた不動産会社に有名なスイーツ店のお土産を差し入れさせて頂きました。たかがスイーツ、お菓子ではありますが、こーゆーのをチョイチョイ入れておくことで、その後の対応も変わります。
特に私のようなデベ、ファンド出身でスーゼネや金融機関、機関投資家とヤリあっていたようなあたりの強いタイプは面倒な客です。そんな奴が仕事の成果に感謝し、優しくするのは効果的です。DV男とその彼女みたいなもんです。
客付けしてくれた営業マンや店長に直接『商品券』や『ビール券』をプレゼントしても良いのですが、昨今では大手の不動産会社はこーいったものを受け取りません。一種の賄賂や裏金みたいなものですからね。
今回は値引きに対して柔軟に対応しました。とはいっても、3部屋あって2部屋は以前と同じ家賃で契約出来ています。1部屋だけ、若干の値引きに応じました。多少の値引きで3年分の賃料が決まるのであれば(途中解約のリスクはありますが)、必要経費として割り切りました。
これも3月中に定借契約を目指しているため、仕方がありません。メリットを掴むためには、多少のデメリットも引き受ける必要があります。
今回は行っていませんが、満室にさせるための対応として、他にも『ADを通常よりも増やす』『フリーレント』『新規の不動産営業会社を開拓する』なんて方法もあります。
AD(広告料、客付け手数料)を増やすとオーナー側の持ち出しコストが増えますが、不動産会社&営業マンのやる気は高まるので、他の物件より先に自分の物件を紹介してくれたりします。効果的な方法ではありますが、コストが掛かるので今回は行いませんでした。っていうより、行わずに満室に出来良かったです。
フリーレントは『敷金&礼金を0円』と同じで入居者負担を減らすという施策になります。しかし、先に説明した通り、手元資金の少ない人が対象となるので、家賃滞納リスクが通常より高まる可能性があります。この手の人達はお客様としては、他の入居者よりもアレですね。
これを行うとオーナー側の収入が減ります。人によって考え方は様々だと思いますが、私の場合、これを行うくらいであれば、AD増やす方が効果的だと思います。今後の関係性を考えれば、入居者負担安くして得られるメリットよりも、不動産会社へのAD費用上げて得られるメリットの方が多いと捉えているからです。ただ、フリーレントの方が実弾としての効果や即効性は高い気がします(知らんけど
これはお金が発生するような施策ではないので、お手軽な方法ではあります。多くの不動産会社を利用することで、エンドへの接触が増える可能性が高まります。ただ、余りにも沢山の不動産会社を利用するのは効率的とは言えません。薄い関係で仕事にならないと分かれば、不動産会社の方も蔑ろになります。
常日頃からお世話になっている会社だけで、成果が出ないようであれば、1,2社新たに開拓してみても良いかもしれません。また、仕事の成果が上がらない会社やコストのかかる会社を切って、新規開拓してみることも良いと思います。
ダメ会社を切って、新規開拓っていう方法は、私は行っています。これに関してはまた別途書きたいと思います。