REITの暴落がはじまった!チャンスか?!
新型コロナウィルスの影響で株式市場は大パニック状態になっています。
それに引き連られてなのか、REITの価格まで暴落し始めました。
これについて、ファンドで不動産を扱っていた私が解説します。
出展:Google
なぜ、下がったのか?
一般投資家がREITを投げ売ったというのもあるのでしょうが、実体は地銀が手放したからのようです。
新たな投資証券(所謂、株券のことをREITの場合は投資証券と呼ぶ)発行する際、
主な引受手として『一般投資家』と『機関投資家』がいます。
一般投資家は我々のことで、1口から投資証券を小口購入している人達です。
一方で機関投資家とは、ファンドや生命保険会社、年金基金等の巨額のお金を投じるプロ投資家達のことです。
地銀も当然に金融機関であり、金融のプロなので機関投資家の部類に含まれます。
銀行の本来の稼ぎ方
銀行の本来のビジネスモデルは
- 銀行は本来多くの人、会社からお金を集める
- 集めたお金をお金が必要な人に貸し出す
- 借りた人から借りた額よりも多いお金を返して貰う
- 返して貰ったお金の一部を利息として預金者に渡す
- 残ったお金が銀行の収益
といったものです。
お金を必要としている人にお金を貸して経済を回す。
地銀の経営環境
しかし、日銀のはじめた異次元の金融緩和によって、銀行を取り巻く環境、特に地銀を取り巻く環境は非常に厳しいものになりました。
銀行は預かったお金の一部を日銀に預けることで、利息を受け取ることが出来たのですが、日銀の行っているマイナス金利政策によって、収益のひとつを失いました。
そうなると、自力で融資先を見つけて来なければなりません。
融資
しかし、大きな収益を期待できるような融資先が地方、田舎にあるでしょうか?
東京とは違い大きな会社や高収益企業というのは非常に少ないはずです。
また、大きな会社があったとしても、その様な会社の場合、金利がより安いメガバンクから調達するのが一般的です。
莫大な資金を日本中から集めるメガバンクと地域からお金を集める地銀とでは、会社の規模、収益等が全く違います。
当然、融資金利も通常はメガバンクの方が低く提示することが出来るため、
大きなお金が必要となれば、より低い金利の銀行から借りるのが当然となります。
融資での収益が圧迫されるとなると他の収益源を確保しなければなりません。
投資
そこで、金融商品を買い、そのリターンを得るということを始めました。
しかし、株式の様な価格が大きく動くリスクの高い商品ばかりを買う訳にはいきません。
下手な投資をして、銀行そのものが潰れてしまうなんてことになっては大変だからです。
そこで彼らが目を付けたのが、不動産投資信託、つまりREITや私募REITです。
地銀は有利な立場だったのに・・・
地銀は収益対象のひとつに、保険会社や年金基金なんかと同じく不動産投資信託、REITに目を付けました。
REITには関しては『REITでの投資』を参照願います。
現在の地銀を取り巻く環境からすれば、キャピタルゲインが得られなくても、インカムゲインで毎年3%、4%も取れれば、御の字ということです。
機関投資家は有利
投資法人がが新たな投資証券を発行し、1000億円を調達する場合
1000億円の資金を調達したいとなったならば、機関投資家にまず話を付けに行きます。
詳細は別ですが、イメージしやすいように話すと
機関投資家から800億円を調達して、残りの200億円を一般投資家に販売し、1000億円を調達する。
で、調達した1000億円で不動産を購入し、そのアガリを投資家に分配すると云った感じです。
そして、機関投資家に発行する投資証券価格は一般投資家よりも有利な価格に設定されます。
これは今回に限ったことではなく、どこの業界でも大口のロット買いの人には、サービスやオマケが発生するのでおかしなことではありません。
地銀倒産待ったなし!
一般投資家よりも有利な価格で大量に購入したREITを売却せざる得ないということは
つまり、購入価格よりも現在価格が安くなってしまって投げ売っている状態です。
不当に安い価格であったとしても、価格がついてしまっているのですから、どうにもなりません。
逆を返せば、機関投資家より安い価格で購入できる超割安な状態になっているということです。
地銀は、日銀から得られる利息は絶たれ、融資営業ではメガバンクには勝てませんし、他行との競争もあります。
唯一の光であった投資についても、コロナショックにより、REITを売らなければならない状況にまで追い詰められました。
この先、彼らに残されているものは・・・・
REITの発行体は破産しないのか?
現在のREIT価格は非常に安く、高利回り状態となっており、日本のトップ2不動産の運用するREITでこの状況です。
- 三井不動産のオフィス投資を行っている「日本ビルファンド」が555,000円/口(3.8%)
- 三菱地所のオフィス投資を行っている「ジャパンリアルエステイト」が500,000円/口(4.1%)
価格がどんどん下がると、投資法人の倒産を心配する人もいるかと思います。
実際に不動産の証券化ビジネスは20年近く前にブームがあり、その後、いくつかの会社(アーバンコーポレーション、ジョイント、ダヴィンチ等)が倒産しました。
他にもREIT同士の合併や買収も行われています。
コロナショックによって、これらのことが起こる可能性はない訳ではありませんが、様々な変遷を経て現在のREITがあります。
そのため、投資法人のスポンサー(親会社)がしっかりしているところならば、基本問題はないでしょう。
レジがより安全
リセッション局面においては、レジデンス系を運用しているREITは他よりも安全と言われています。
想像してみてください。
超高級マンションに住んでいるのであれば、別ですが、普通のマンションに住んでいた場合
「収入が減ってきたので、即安い物件に引っ越しをしますか?」ということです。
多くの人は支出を抑えて、現在の物件にしばらくは住み続けるはずです。
それでも苦しくなってきたら、引っ越し代を払ってより安い物件に移動します。
将来の景気後退を見越して、高級物件から手を引いているREITもあります。
チャンスなのか?
現在のREIT価格は大チャンス価格といって間違いないと思います。
個人投資家が機関投資家と同等、もしくはそれ以下の価格で商品購入できる機会等、普通はありません。
ただ、ドコが底価格なのかは誰にも分かりません。
私がデベロッパーに勤めていたとき、リーマンが発生し不動産が放出されました。
当時40億円で買入を入れたところ、実際は28億円が最低価格だったなんてケースがありました。
なので、現在価格で購入したからといって、更に30%下がったなんてありそうです。
それでも、長期投資ならば、かなり良い投資先だと思います。
私自身は新たな資金を入れての日本株投資をするつもりはないのですが、
REITに関してはじっくり考えてみようと思っています。